2012年11月12日

メルクリウス(Mercurius / Lukasz Wozniak / REBEL.pl / 2012)


「メルクリウス」は、ここ最近、ほとんど見られることのなかった純然たる「株ゲーム」である。
株式や商品を売買し、より多くの利益を得ることを目指す。
それが目的であり、メインとなるシステムの大部分だ。
愚直なまでにストレートな株ゲーム。それが「メルクリウス」だ。

コンポーネントからして、その愚直さが伝わってくる。
そもそもメインとなるボードに描かれているのが株価や商品価格を示すためのトラックのみ。
そして、カードは、ほとんが相場を変動させるためのカードだ。
あとは、所有数を示すための株式トークン、商品トークン。それからお金トークン。
そのほかは、プレイヤーボードが人数分、特別アクションカードと配当トークンが少し用意されているのみだ。
70年代、80年代の株式や投資をテーマとしたゲームでは割と見られたコンポーネントではあるが、最近の「これでもか!」というほどに大量に様々な駒やカードが用意されたゲームに見慣れていると、あまりのあっさり加減に驚いてしまうかもしれない。

では、システムはどうだろうか。
プレイヤーが手番に行うことは基本的に「株式や商品の売り買い」、そして「価格変更カードのプレイ」である。
もう、読んだとおり、そのまま。「安く買った株式を価格変更カードで高くして売る」ことがゲームの主な目的になることが簡単にイメージできるだろう。
システムに至っても、愚直そのものである。

ここまで読んで「なんだ、古くさい株ゲームか」と判断してしまうのは、あまりに早計である。

もちろん、2012年に楽しむための「仕掛け」は、そこかしこに見られる。

例えば、株式や商品の価格変動。
実は、一枚の価格変更カードには二種類、株式と商品がひとつずつ描かれている。そして、それは必ず一方が上昇するように、一方が下降するように設定されている。
さらに、この価格変更カードによっての価格変動は、「プレイして変更。はい、おしまい」というような単純なものではない。
プレイされたカードは、各プレイヤーのプレイヤーボードに並べられることになる。そして、そのカードは、以降、3ラウンドに渡って価格変動の効果を及ぼすことになるのだ。
一度、上がりはじめた株式や商品は、その後、3ラウンドに渡ってその価格は上がり続けるし、その逆もまた然り、である。
そしてこれは、すべてのプレイヤーの価格変更カードについて言えるため、全体の場を俯瞰することで、全体の相場の動きというのものが、おぼろげに見えてくることになるのである。
結果、求められる計画性や駆け引きは、濃密なものになる。

各プレイヤーは、ゲーム中にそれぞれ一回だけ使える特殊アクションカード3枚を持っている。
この特殊アクションがまたよくできていう。
「闇市場」による株式や商品の一気売りは価格が上がりきった場面を見極めて使うことができれば強力だし、自分が狙った株式や商品の価格をうまく上昇させることができたならば「配当」は決定的なボーナスを与えてくれるかもしれない。相場のコントロールを容易にする可能性を秘めた「ニュース」は、自分が価格変動に及ぼす影響が一時的に落ちるとはいえ、活用できたならばゲーム自体の流れすらもコントロールできてしまうかもしれない。
どれも、目に見えて強力ではないが、「ここだ!」というところで使うことが出来たならば、非常に強力だと想像させる。
うまく使いこなしたい、とゲーム好きとしての心をくすぐられるはずだ。

「メルクリウス」を一言で表するならば、冒頭にも書いたように、愚直なまでにストレートな「株式ゲーム」、ということになるだろう。
しかし、細部を見ていくと、そして実際に遊ぶと、まさに2012年のゲームだと思ってもらえるはずだ。

最後に、遊ぶにあたってよりゲームを楽しむためのアドバイスを。
遊ぶ前には、ぜひ、マニュアル最終ページに書かれた「価格変更カードとこのゲームの経済」の項に目を通してもらいたい。
価格変更カードがどのような構成で用意され、それが結果、どのように価格に対して影響を及ぼすのかが書かれている。
カードの構成は、驚くほどシンプル。そして、この項で説明されている価格変動の性格も非常に単純だ。愚直さがここにも表れていると言える。
しかし、実際のゲーム展開はドラマ性豊かで、ほかのプレイヤーとの駆け引きも熱い。
きっと驚くだろう。

posted by タナカマ at 01:52| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲームレビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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