2014年11月09日

ゲーム紹介:パンタロス

パンタロス(Bernd Eisenstein / Irongames / 2014)
2〜5人用 / 90分 / 12歳以上

プレイヤーは、地下世界に住まうタイタンの攻撃に対抗しながら、古代国家において、指導者としてより多くの利益を得ることを目指します。
ゲームの基本となるのは、駒の配置よってアクションを選択、実行していく「ワーカープレイスメント」です。
ゲームボード上には、いくつも建物が描かれ、それぞれに固有の効果が設定されており、そこに駒を置いていくことで、その効果を受けることができるのです。労働者駒には、「レベル」にあたる熟練度があり、アクションを選択する際には、その熟練度を踏まえることが必要となる場合もあります。そのため、その熟練度を上げるためのアクションを先んじて実行しておくことも大事かもしれません。
さまざまなアクションを組み合わせ、原材料を入手し、職人の力を借り、原材料を加工し商品を作り、出荷や商人への売却をすることが、メインとなる得点手段です。
しかし、それを繰り返すことで簡単に得点を獲得し続けることは難しいでしょう。
というのも、このゲームで、もっとも特徴的な存在、箱にも大きく描かれた巨人「タイタン」がいるからです。
地下世界に住まうタイタンは、ゲーム中、常にプレイヤーたちの脅威となります。
強大なタイタンの力に対抗するために、プレイヤーたちは、自らもタイタンを率いています。
さまざまなアクションの中には、自らが率いているタイタンの力を増大させていくものも用意されています。状況に応じて、タイタンの力をより強いものとしていきましょう。
また、タイタンだけでなく、重装歩兵隊「ファランクス」による増援部隊を大きくしていくことも重要です。
タイタンは、また、プレイヤー同士の「決闘」にも用いられます。
プレイヤーたちは、お互いのタイタンをぶつけ合い、さらなる利益のため、他のプレイヤーを打ち負かすことが必要となることもあるのです。
指導者として、より大きな利益を得るためには、強大な力も得て、それを活用しなければならないのです。

王道的なワーカープレイスメントに、タイタンによるプレイヤー間のパワーバランスの構築と、その力を用いた直接的な闘いが盛り込まれ、常に緊張感のある展開が味わえるようになっています。
同作者の「ペルガメムノン」にも見られた、一人のプレイヤーが常に闘いで負け続けることを避けるためのルールが採用されており、直接的な闘いを盛り込みつつも、丁寧にバランス調整が行われたことが伺えるのも、好ポイントと言えるでしょう。

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2012年11月07日

「テラミスティカ」:勢力インプレッション 第1回

「テラミスティカ」を多くの方が楽しみにしてくださっているようで、ありがとうございます!
私自身、十日間ですでに6回ほどプレイするというくらい気に入っているタイトルなので、大きな期待を寄せていただけるのは、本当に嬉しいです。

せっかく多くの方が楽しみにしてくださっているので、さらに面白さをお伝えしたいと思い、「テラミスティカ」の重要な要素であり、面白さの一つでもある、「勢力」について、簡単なインプレッションを書いてみたいと思います。
ちなみに、「第1回」と付いてはいますが、プレイを重ねたタイミングでこの記事は書いていく予定なので、プレイを重ねない限りはいつまでも回は更新されません。あらかじめご了承ください。
では、早速いってみましょう!

・魔女(プレイ回数:3回)
能力:町を建設したとき、勝利点5点を追加で得る。
砦による能力・効果:空いている森林へクスに(コストを払うことなく)住居駒を置くことができる。


インプレッション:
「町」とは、ゲーム中に自分の建物が少なくとも4へクス繋がるように、かつ、その4へクスの建物のパワーが7以上となった場合に建設されるボーナス要素。
このボーナスがかなり大きいのですが、一度、町が建設された「繋がり」は、以降、どれだけ延ばしても、また、パワーを高めても町は建設されません。
ボーナスが大きいとはいえ、プレイヤーが通常のプレイで持つことのできる「繋がり」は、2つか3つのことが多く、「町」をプレイの中心に据えることは難しいものになります。
しかし、魔女は、離れたところにコストを支払うことなく住居を建て、そこから新たな「繋がり」が作れるため、「町」の建設はある程度自由が利くのです。
加えて、追加の5勝利点。これを狙わない手はありません。
このわかりやすさこそが魔女の最大の強みといえるでしょう。
とりあえず、砦を建てれば、そこから先の戦略はさらに見通しがよくなりますし、ほかのプレイヤーとの「陣取り」の部分でも、離れたところに住居を建てられるということは、封殺されにくい、ということになります。
見通しがよく、苦しくない。
「最初のゲーム」に含められているだけあり、誰でも遊びやすい勢力でしょう。

・人魚(プレイ回数:1回
能力:町を建設するとき、河川へクスを一つ飛ばすことができる。
砦による能力・効果:建設時、即座に(一回だけ)船舶トラックを一つ進める。

インプレッション:

町を建設する際に、なかなか厳しい障害となる河川へクス。なぜなら、町を建設するための「繋がり」は、河川へクスをまたいではダメだからです。(橋をかけることで「繋がり」とすることができます)
人魚は、その河川へクスを一へクスとはいえ飛ばせるのは大きな強みです。
また、初期状態で船舶のレベルが1あるため、とりあえず、河川へクスを中心に広く陣地を展開させていけばゲームを有利に進められるでしょう。
ただ、その広く浅くの状態ではゲーム終盤に息切れするのは必至。砦による能力が持続性のあるものではないこともあるので、他のプレイヤーに陣地の広さ、労働者の数でプレッシャーをかけたら、早めに恩恵タイルを得て、さまざまな能力、効果を得る必要があるでしょう。
このタイミングの見極めはなかなか難しい印象ですが、河川へクスをそれほど気にしなくてもいいのはストレスが少なく、楽しく遊べる勢力です。

・混沌の魔術師(プレイ回数:1回)
能力:ゲーム開始時、初期配置できる住居駒の数が一つ。(通常は2つか3つ)
砦による能力・効果:各ラウンドごとに一度、二つのアクションを続けて行える。

インプレッション:

初期配置できる住居駒が、ほかの勢力の半分という、とにかくスロースターター。
砦建設後は、手が早くなるとはいえ、そのためには陣取り部分で封殺されることなく、確実に陣地を広げておく必要があるため、序盤はかなりシビアでしょう。
序盤がシビアということは、ラウンドごとのボーナスタイルによる得点も序盤は狙いにくいため、ほかのプレイヤーが先行しがちな得点にもプレッシャーを感じることになるでしょう。
私自身、最初のプレイではまったくその通りで、すべてにおいて終始後手後手。
歯ごたえありまくりの上級者向けの勢力ではないでしょうか。
想像以上に苦しいですよ!

・巨人(プレイ回数:1回)
能力:地形の変換に必要なスコップが常に2つ。
砦による能力・効果:スコップを2つ得ることのできる建設アクションを、スペシャルアクションとして使えるようになる。

インプレッション:

スコップが1つ〜3つ、地形によって必要な数がかわる地形の変換が、すべてスコップ2つになるという個性的な能力の巨人。
一見、使いやすそうな能力に見えて、序盤、ただでさえ大変な地形の変換が、1つで済む地形がなく、どこでも2つかかるというのは、かなり厳しい。
砦を建てた後、圧倒的に楽になるため、とにかく砦を目指すのが重要でしょうか。
砦に的を絞るならば、いっそスコップのレベルを上げることをせず、代わりにその分のコストをどう使うかが鍵になりそうです。
司祭を教団へと送りこみ、教団ボードの進め具合でほかのプレイヤーにプレッシャーをかけつつパワーを得るのが良さそうですが、じゃ、司祭を得るために砦を建てる前に神殿を建てるのか?と言われると、ちょっと答えに窮してしまうところ。
実際のプレイは、なかなか面白かったので、個人的には気に入っている勢力です。

というところ。
プレイを重ねたら、またインプレッションしてみたいと思います!

posted by タナカマ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月28日

ゲーム紹介:ハーン


「ハーン」は、モンゴルを舞台に、征服を繰り返し、自分の陣地とすることで得点を獲得し、勝利を目指すゲームです。

モンゴルの各地には、送り込まれた統治者のコマが置かれています。
これらのコマは、ある特定のプレイヤーのコマということではなく、カードにより移動することで中立の「ユルト」と呼ばれるモンゴルの特殊な住居をあらわすチップをボード上に置いていきます。
プレイヤーは、手番が来たら、まず山札をめくります。
そのカードに描かれている統治者コマが、カードに示された方向へと動き、もともとコマが置かれていたマスに中立のユルトが置かれます。

そのあとで、プレイヤーは、いくつか用意されたアクションから二つを選択し、実行します。
選択したアクションにより、自分のユルトを置いたり、統治者コマを新たに動かしたりします。
なかでも重要なのは「征服」です。
ユルトが置かれているマスを覆うように征服タイルを置き、それが最終的な得点に繋がるのです。
征服タイルが置かれるマス、そのすべてにユルトが置かれている必要があるため、効率よく征服していくためには、中立のユルトが非常に重要となるのです。
また、ほかのプレイヤーのユルトが置かれているならば、そのプレイヤーを出し抜いたり、また、時には協力する必要もあるかもしれません。

ユルトの置かれたマスや、征服タイルの置かれたマスへは統治者コマが入ることはできません。
動けなくなくなった統治者コマは、ゲームから取り除かれます。
そして、一定数の統治者コマが取り除かれたらゲーム終了となります。

隣接した征服タイルはひとつの陣地として扱い、もっとも大きな陣地としていたプレイヤーにはボーナス点が入ります。
もっとも高い得点のプレイヤーの勝利となります。



カードを使った陣取りですが、全プレイヤー共通となる「統治者コマ」の中立コマが自分の征服に繋がるよう、いかにコントロールするかが非常に面白く、また、タイル配置の駆け引き、妙は、アブストラクトゲームに通じるものがあり、悩ましいものとなっています。
ほかのプレイヤーとの取ったり取られたりに一喜一憂、熱い戦いを繰り広げてください!

タイトル:Khan
デザイナー:Christwart Conrad
メーカー:Huch & Friends / White Goblin Games
発売年:2010年

プレイ人数:2〜4人
プレイ時間:60分
対象年齢:10歳以上


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2011年01月10日

ゲーム紹介:ダブル・オア・ナッシング


「ダブル・オア・ナッシング」は、名ゲームデザイナー、ライナー・クニーツィア作による、スリル満点のめくり系ギャンブルゲームです。

プレイヤーは、手番が来たら、山札から一枚をめくります。(いざというときには、手札を使うこともできますが、枚数が限られているため、状況をシビアを見定める必要があります)

カードにはいくつかのマークが描かれており、それまでに並べられているカードに描かれているマークの少なくともひとつが途切れることなく続かなければなりません。そして、この途切れずに続いているマークの数が得点となるのです。
いま、めくられたカードはどうだったでしょうか?
途切れることなくマークが続いていれば、成功ですが、もし、途切れてしまったら、ゲームから(一時的に)抜けなければならず、このラウンドの得点チャンスを失ってしまいます。

失敗が怖いですか?
その場合は、自ら、ゲームから抜けることができます。
この場合、その時点での得点を受け取ることが出来ます。

最後の一人となったプレイヤーには、このゲームのタイトルにもなっている「ダブル・オア・ナッシング」が待っています!
続けて二枚のカードをめくり、両方共成功していれば、倍の得点を獲得!
しかし、一枚でも失敗していたら、まったく得点は得られないのです。

どこまでねばり、どこで抜けるのか。
チキンレース的な展開の先に待っている「ダブル・オア・ナッシング」!
加えて、リスクも含んだボーナスカードの存在まであり、単なるめくりゲームではなく、さまざまな押し引きと、ドラマティックな展開が楽しめる、非常にアツいタイトルなんです!
少し、古いタイトルですが、これぞ、「隠れた名作」。オススメです!



タイトル:Double or Nothing
デザイナー:Reiner Knizia
メーカー:Piatnik
発売年:2007年

プレイ人数:3人〜6人
プレイ時間:30分
対象年齢:10歳〜

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2010年11月15日

ゲーム紹介:トライコーダ / コード777

過去にリリースされ、パズル系ゲームの傑作と言われながら、入手の難しい状態の続いていたタイトルが、新版となってリリースされました。

プレイヤーは、ヒントカードによって徐々に明らかとなる場の状況から、自分のラックに置かれたタイルに描かれた数字を推理し、当てることを目指します。

このように、自分のラックに乗せられたタイルは、自分から見ることはできません。
自分の番が来たプレイヤーは、ヒントカードをめくり、書かれている質問に答えます。
「三つの数字の合計が18以上になるラックはいくつありますか?」
「すべてのラックを通じて、まったくない数字はいくつありますか?」
というような質問に、プレイヤーが答えていくことで、場の状況が徐々に見えてくるのです。

このようなメモパッドが付属し、どのようにメモを取っていくかも重要となります。
ちなみに、数字のタイルは、右にあるように、枚数がそれぞれバラバラに用意されています。
この、それぞれの枚数もヒントになるわけです。

さあ、正解したでしょうか?

はっきり言って、想像以上に難しく、その難易度は「超A級」と言えるでしょう。
その分、正解したときの興奮度は格別のものがあります。
パズル系、推理系ゲーム好きなら、一度は挑戦してみる価値アリのオススメ作品です!

タイトル:Tricoda
デザイナー:Alex Randolph, Robert Abbott
メーカー:King International
発売年:2010年

プレイ人数:2人〜4人
プレイ時間:30分
対象年齢:10歳〜

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2010年09月09日

ゲーム紹介:シカゴギャングスター

「シカゴギャングスター」は、ギャングの世界を舞台とした同盟間の協力と裏切りのゲームです。

プレイヤーは、それぞれがギャングの派閥となります。

毎ラウンド、カードによって決められた派閥同士で同盟を組み、攻撃を仕掛ける側とその攻撃を受ける側に分かれ、ダウンタウンを巡って争います。(左の画像では、青と緑のプレイヤーが攻め手側の同盟となり、黄色と赤のプレイヤーが守り手側の同盟となります)

争いは、手札から出した手段カードの数値を同盟ごとで合計し、その合計の数値が高かった同盟が、勝利することになります。

舞台となるダウンタウンによっては、それぞれのプレイヤーが自分の支配下に置いている人物カードの強さが重要となることもあります。(今回の争いでは、、札束のカードと人物カードが投じられました)

争いが終わると、ギャングにとっての利益となる略奪品の分配が行われます。

争いに敗れた側も、勝利した側の半分以上の数値であったならば、少ないながらも略奪品を手に入れることができるため、どうしても勝利の見込めない争いでも、うまくカードを出すことが重要となります。

出来るだけ手札を減らさずに争いに勝利するには、どのようにカードを出すべきか?

形勢が悪いなかで、いかに利益を得ていくのか?

同盟を組んでいるプレイヤーにうまく「乗せられて」しまい、自分ばかりが安易に強いカードを出し過ぎてしまうことになるかもしれません。そうです、このギャングの世界では、同盟を組んでいるからといって、過度な信頼は禁物なのです。時には、同盟相手すら騙すようなブラフをかける必要が出てくるかもしれません。

ゲームの最後には、各派閥同士が同盟を組まず、自分の手札だけを使っての、最後の闘いが待っています。ゲーム中、うまく立ち回り、強力なカードを温存できたプレイヤーは、ここでボーナス得点を獲得できるでしょう。

ラウンドごとに変わる同盟関係の中で、いかに効率よく手札を使って争いに勝利し利益を得ていくのか、常にスリリングな展開が続く、面白いカードゲームです。

プレイ時間60分と、カードゲームとしては少し長めのプレイ時間となっていますが、その分の満足度は十分に味わうことのできるゲームになっています。

タイトル:Chicago Gangsters
デザイナー:Jurgen Kiedaisch
メーカー:KOSMOS
発売年:2009年

プレイ人数:3人〜5人
プレイ時間:60分
対象年齢:12歳〜


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posted by タナカマ at 19:10| Comment(0) | TrackBack(0) | ゲーム紹介 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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